監修:行政書士 渡邉徳人(行政書士事務所WITHNESS 代表・熊本県行政書士会 第05430405号)最終更新日:
事業で出たごみが「産業廃棄物」か「一般廃棄物」かで、運ぶために必要な許可も、申請先も変わります。産業廃棄物は都道府県が出す産業廃棄物収集運搬業許可、一般廃棄物は市町村の許可です。このページでは、廃棄物処理法の区分と、産業廃棄物20種類の一覧、許可を取るときに品目をどう選ぶかを説明します。
廃棄物は4つに分かれます
廃棄物処理法では、廃棄物を「産業廃棄物」と「一般廃棄物」に分け、そのうち爆発性・毒性・感染性があって人の健康や生活環境に被害を生じるおそれがあるものを「特別管理」として別に扱います。
| 区分 | 中身と処理の責任 |
|---|---|
| 産業廃棄物 | 事業活動に伴って出た廃棄物のうち、法律と政令で決められた20種類。 処理の責任:出した事業者 |
| 特別管理産業廃棄物 | 産業廃棄物のうち、引火しやすい廃油、強い酸・アルカリ、感染性のもの、PCB・廃石綿などの有害なもの。 処理の責任:出した事業者 |
| 一般廃棄物 | 産業廃棄物以外の廃棄物。家庭のごみ(家庭系)と、事業所から出る産業廃棄物以外のごみ(事業系)。 処理の責任:家庭系は市町村。事業系は出した事業者(市町村の処理計画に沿って処理) |
| 特別管理一般廃棄物 | 一般廃棄物のうち、廃家電に含まれるPCBを使った部品、感染性のものなど。 処理の責任:市町村 |
特別管理産業廃棄物を運ぶには、普通の産廃許可とは別に「特別管理産業廃棄物収集運搬業」の許可が必要です(特別管理産業廃棄物の種類)。
産業廃棄物と一般廃棄物の違い
同じ紙くずや木くずでも、どの業種から出たかで区分が変わります。たとえば、建設工事で出た木くずは産業廃棄物ですが、飲食店や事務所から出た木くずは事業系一般廃棄物です。
| 産業廃棄物 | 一般廃棄物 | |
|---|---|---|
| 運ぶための許可 | 産業廃棄物収集運搬業許可 | 一般廃棄物収集運搬業許可 |
| 許可を出すところ | 都道府県知事(熊本市内だけで積み下ろしをする場合も熊本県の許可で運べます) | 市町村長(運ぶ市町村ごと) |
| 許可の受けやすさ | 要件(講習会・車両・駐車場・経理・欠格)を満たせば受けられます | 市町村の処理計画しだい。新しい許可を受け付けていない市町村もあります |
| 例 | 建設工事の木くず・がれき類、工場の廃油、事業所の廃プラスチック類 | 家庭ごみ、事務所の紙くず、飲食店の残飯、庭木の剪定枝 |
産廃許可だけでは、一般廃棄物は運べません
一般廃棄物の収集運搬は、市町村ごとの許可が必要です。市町村は自分の処理計画に合わせて許可を出すため、許可の数を絞っていたり、新しい申請を受け付けていなかったりします。熊本市でも、一部の品目を除いて新規の受付をしていない時期がありました。一般廃棄物も運びたい場合は、先に運ぶ市町村に受付の状況を確かめてください。
産業廃棄物の20種類
産業廃棄物は、どの業種から出ても産業廃棄物になる12種類と、決められた業種から出たときだけ産業廃棄物になる7種類、それらを処理したもの1種類の、あわせて20種類です。
どの業種から出ても産業廃棄物になるもの(12種類)
| 種類 | 主な例 |
|---|---|
| 燃え殻 | 焼却炉の残灰、石炭がら、廃活性炭 |
| 汚泥 | 排水処理の汚泥、建設汚泥、ベントナイト汚泥、洗車場の汚泥 |
| 廃油 | 潤滑油・切削油・洗浄油、タールピッチ類 |
| 廃酸 | 廃硫酸・廃塩酸、写真の定着液など、すべての酸性の廃液 |
| 廃アルカリ | 廃ソーダ液、写真の現像液など、すべてのアルカリ性の廃液 |
| 廃プラスチック類 | 合成樹脂くず、発泡スチロール、廃タイヤ、塩ビ管、ビニールシート |
| ゴムくず | 天然ゴムのくず(合成ゴムは廃プラスチック類) |
| 金属くず | 鉄くず、非鉄金属のくず、切削くず、研磨くず |
| ガラスくず・コンクリートくず・陶磁器くず | 板ガラス、石膏ボード、レンガ、陶磁器、工作物の除去以外で出たコンクリートくず |
| 鉱さい | 高炉・電気炉のスラグ、鋳物の廃砂、不良鉱石 |
| がれき類 | 工作物の新築・改築・除去で出たコンクリートの破片、アスファルトの破片 |
| ばいじん | ばい煙を出す施設や焼却施設の集じん機で集めたばいじん |
決められた業種から出たときだけ産業廃棄物になるもの(7種類)
次の7種類は、表の業種から出たときだけ産業廃棄物です。ほかの業種から出たものは事業系一般廃棄物になります。
| 種類 | 産業廃棄物になる業種と主な例 |
|---|---|
| 紙くず | 建設業(工作物の新築・改築・除去で出たもの)、パルプ・紙・紙加工品の製造業、新聞業、出版業、製本業、印刷物加工業。壁紙くず、包装紙、段ボールなど |
| 木くず | 建設業(同上)、木材・木製品の製造業(家具を含む)、パルプ製造業、輸入木材の卸売業、物品賃貸業。貨物の運搬に使ったパレットは、業種を問わず産業廃棄物です。解体材、型枠、足場板、伐採した木など |
| 繊維くず | 建設業(同上)、繊維工業(衣服などの繊維製品の製造業を除く)。畳、じゅうたん、木綿くずなど |
| 動植物性残さ | 食料品・医薬品・香料の製造業。醸造かす、発酵かす、魚や獣のあらなど |
| 動物系固形不要物 | と畜場・食鳥処理場。処理した獣畜・食鳥の固形の不要物 |
| 動物のふん尿 | 畜産農業。牛・豚・鶏などのふん尿 |
| 動物の死体 | 畜産農業。牛・豚・鶏などの死体 |
このほか、上の19種類を処分するために処理したもの(コンクリート固化物など)も産業廃棄物です(20種類目。「13号廃棄物」と呼ばれます)。
建設工事の廃棄物は、元請業者が「排出事業者」です
建設工事で出た廃棄物は、下請業者が実際に作業をしていても、元請業者が出したものとして扱われます。下請業者が現場の廃棄物を運ぶには、元請業者から委託を受けたうえで、産廃許可が必要です(排出事業者責任)。
一方で、事業者が自分の出した産業廃棄物を自分の車で運ぶ場合は、産廃許可はいりません。運ぶときの基準(飛散・流出の防止、車両への表示、書面の携帯)は守る必要があります。
許可を取るときは「運ぶ品目」を決めます
産廃許可は、運べる産業廃棄物の種類(品目)が許可証に書かれます。許可証にない品目は運べないため、申請の前に、運ぶ予定の廃棄物がどの種類に当たるかを確かめます。品目ごとに、こぼれたり飛び散ったりしない積み方・容器が必要で、液状の廃油・廃酸・廃アルカリや泥状の汚泥は、タンクや密閉できる容器など、運ぶのに合った車両・容器をそろえて申請します。
あとから品目を増やすには「変更許可」の申請が必要です(変更許可申請)。建設業のお客様は、がれき類・木くず・紙くず・繊維くず・金属くず・ガラスくず等・廃プラスチック類など、現場で出るものをまとめて取ることが多くなります。
どの品目で許可を取ればよいか、一緒に確かめます
行政書士事務所WITHNESSでは、運ぶ廃棄物と車両・容器を伺って、申請する品目を決めるところからお手伝いしています。熊本県の産廃許可の新規申請の流れと費用は、ご依頼の流れをご覧ください。
出典:廃棄物の処理及び清掃に関する法律 第2条・第3条・第7条・第12条・第14条・第21条の3、同法施行令 第2条・第2条の4、環境省「産業廃棄物の種類」。2026年10月時点の内容です。




